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ダークファンタジーという言葉を知っているだろうか
小説レビュー  |  2022.08.11 14:18
 (3596)  |  ヒット数 : 1089 (重複含む)
勇者パーティーやめます。
作家 : NariaTa

俺なしで、よろしくやってみなよ。

ダークファンタジーという言葉を知っているだろうか。

ラノベやマンガなど、わたしたちの心得る領域の中から例えるなら、最初に浮かべるものは多分『ベルセルク』のはずだ。


濃い憂鬱美が漂う世界観、登場と犠牲を繰り返すキャラクターたち。それらを貫通する渋い人間関係、そして主人公を敵対するかのような荒々しい事件たち。

ここに少しばかりの人間賛歌が加わると、ノベルピアの「勇者パーティーやめます」が出来上がる。


慣れ切ったアカデミー系TSTUEEEものじゃないのかって? 実際にこの小説の最初あたりは、よく見かける勇者パーティーものの展開を辿る。

意見の差でパーティーから抜け、お約束のTSイベントを見たTUEEE主人公がアカデミーの教授となる。確かに色んなところで読んで見た設定だ。


が、ああー。これはスピードバンプと呼ぶ物だぜ。


この先、以外の『楽しみ』が待ち伏せているぞ。

ストリーの展開と共に世界観はその憂鬱な姿を現し、強さだけで解決できない事件らが続き、思ってもいない人間関係が興味を増してくれる。

そしてそれら全ての上に、この小説は「人間の意志とは何ぞや」との質問を乗せてくる。

人間とは力だけで世に勝てる存在なのか、『できる』と『やりとげる』の間にはどのような差があるだろうか、等の。


そうやって、片手で慣れ切ったざまぁ系WEB小説を仕切ってた作品は、いつの間にか他の手で重くて渋い物語さえもリードしているのだ。

あえて言おう。この小説はプレゼントに等しい。流れに乗った甘さとともに、濃い重みが共存する作品。

軽すぎるか、稀に重すぎる作品ばかりがはびこるWEB小説界に「二つの味を両立するのは不可能ではない」と、この作品は反抗にすら近い声を上げている。


この作品がざまぁ系の小説であることを期待する方々は、そのまま読めばよろしい。この小説は十分な爽快さを与えてくれる。

この作品が渋い『作品』であることを期待する方々は、しばしの我慢が必要だろう。もうすぐ、息を殺し私たちを待っていた爆発力が忘れられないスリルをプレゼントしてくれるだろう。


ダークファンタジーという言葉を知っているだろうか。ベルセルクを知っている、と?
ならばもう一つの作品を覚えていってほしい。
名を、「勇者パーティーやめます」とゆうものだ。

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