現代で強盗に首を捻じ曲げられて殺された主人公は異世界に転生して普通で平和な日常を過ごしていた。

そんなある日、異世界で再び手にした故郷と親、全てを魔王軍によって失った少年エルドミア・エガーの復讐劇。

「ただ覚えろ。　エルドミア・エガ―の逆鱗には絶対に触れてはいけないってな」

-第７話より-

異世界転生ものではあるが現代の影響はないといえるくらいでで正統派ファンタジーだと思う。行動動機もはっきりしていて主人公の行動に違和感がない。

前世でも再び他人によって全てを奪われた故「自分のものはもう二度と奪われたくない」を信念にしている。

ストーリーも主人公の信念も特別で一気に目を引くところはない。だとしてこの小説が特徴のない地味な小説かというとそれは断然違うと言い切れる。

王道に近道無しということわざがいうようにありふれた素材、ありふれたストーリーが地味でつまらない小説に直結するわけではない。

ありふれたの素材とストーリーを作家の安定した筆力が続きを読みたいと思わせる作品。

　この小説の良いところをあげると、スカッとした展開だとおもう。

　作中に出てくる悪者に無駄に情けをかけたりすることがなくて読んでイライラすることがない。

　成長もので勝てない敵も出てくるけどその部分でストーリーの展開が遅くならないのも強みだと思う。

　女キャラたちも魅力的で復讐一辺倒ではなくライトノベル的な要素も着実に含んでて読者に疲れを感じさせない。

　適当な場面でサービスシーンを入れるなど状況や場面の切り替えがちょうどいい。

　名作とは言えないけど充分楽しく読める秀作で 異世界ファンタジーが好きな人なら誰もが気軽に読める小説だと思う。