主人公は、勇者と共に魔王を退治した大魔法使いでした。彼はある日突然、５０００年後に、不思議な角が生えた猫獣人の姿で目を覚まします。そして奴隷として売られていた彼を、あるエルフの女性が救ってくれ、面倒を見てくれます。５０００年後は、魔法で自動車や携帯電話が動く世界でした。主人公が使っていた魔法は使用者が死んでしまうことが多かったため、現代では危険度の低い魔法を使っています。新しい世界で目を覚ました主人公は、その魔法の変化と、自分の魔法能力が消えてしまったことを知り、自分を救ってくれた女性エルフと共にマンションで生活しながら、現代の魔法を勉強し、再び大魔法使いになることを目標に努力します。

ポイント１：主人公は、体は子どもですが、老人のような言動をします。幼い女の子の姿で老人のようにふるまう主人公の姿は、とても可愛らしく感じられます。本来の自分の口調で話しているだけなのに、おじいさんのように話す主人公を見て、言葉使いが独特で礼儀正しい子どもだ、と考える周囲の反応が面白い小説です。

ポイント２：主人公と周辺の人々は、お互いに勘違いします。時代が違うために現代にある物を使えない主人公の姿を見て、周りの人々は彼が長時間虐待されていたと勘違いし、可哀そうに思います。しかし主人公はそれを知らないため、自分を気の毒がる人々を親切な人だと考えます。お互い勘違いしているため、話が通じているようで通じていない所が可愛らしく描写されています。

ポイント３：悪役のいない、穏やかな日常が繰り広げられるストーリーです。悪者が登場せず、主人公に親切にしてくれる人々と、現代に適応しようとする主人公の話が、穏やかに流れていきます。現代の物をおかしく使う主人公が、とても可愛らしく書かれています。暖かい日常のストーリーが好きな方なら、楽しんで読めると思います。

可愛らしい主人公と、暖かい日常の話が好きな方におすすめします。